午前零時のゴルフ論⛳️

全部言っちゃうね❣️

『科学を極めたが故に誕生した、悲しきモンスター!!』

こんにちは、もちルダです。

 

今、色んな意味でゴルフ界を揺さぶっている男がいます。

 

そう、その漢とは.....

ブライソン・デシャンボー博士!!

 

彼が巻き起こすセンセーショナルな出来事に、業界みんなが注目し始めたといっても過言ではない状況です。

ボールを塩水につけて実験したり、サイドサドルスタイルでパターして怒られたり、コースにコンパス持ち込んで注意されたり、スロープレー過ぎてケプカに叱られるなど、物議醸しまくりな漢ですが、科学的に根拠を伴って解決したいという彼の姿勢をもちルダは大いに尊敬しています。

そう言えば

『ピン挿したままでいいなら、実験した結果こっちの方が入るから抜かないよ!』

と真っ先に表明したのも彼でした。

 

ただ、彼のやっていること、やろうとしているであろうこと、を正しく解説や推測できている情報がこのゴルフ後進国【日本】には非常に少ないように感じるので、今回はこのデシャ博士について考えていきたいと思います。

あのタイガーでさえ、

『何を言っているのかはわからないが、言いたいことはなんとなくわかる😅』

と彼を評していたので、仕方ないかもしれませんが(笑)

 

では、まずでっかくなっちゃう前までの、博士のスイングとスタッツ(ラウンド時の各データ)を見てみましょう。

 

www.instagram.com

 

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シャフトプレーン上(46°ぐらい)をシャフトがなぞるようにスイングしており、シャローイング等のクラブを動かすことによるカウンタームーブがあまり入らないタイプと見受けられます。

今に比べるとかなり大人しいスイングですね。

 

で、この時のスタッツは下記の通り。

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取り立てて何かが飛びぬけている訳ではありませんが、ドライバーが安定していて全体的に概ね上手な選手。

身体的な特徴を加味すると、もう少し飛ばしたいところですね💦

といった内容かと思いますが、この時デシャ博士のスイングの特徴として、

 

①リストターンをしない。

②アームターンをしない。

③肘と手首のヒンジを活かす曲げ伸ばしをしない。

④ずっと左足体重の1軸。

 

という、とりあえずアドレスから何かを変化させないことを目的としているスイングです。

彼の有名な37.5インチで固定したワンレングスアイアンも、アドレスの前傾角とボールとの距離変化を起こさせないために考案させたものですし、あの極端なグリップでハンドアップに構えることでリストターンを極力減らそうとしています。

※グリップが太いからリストターンをしない、というのは人それぞれで反対にターン量が増える方もいます。

 

では、なぜ彼はこのスイングになることを選んだのか?

 

『僕はフックが嫌なんだ。』

 

 デシャ博士は答えていました。

おそらく飛距離を欲しがるよりも前に、

フェース、クラブ、ボディーアクションのすべてを一定にしておけば曲がらないんじゃね?

と考えたのだろうと思います。

彼のショットとパターのスイングが似通っているのは偶然ではありません。

彼は、ドライバーからパターまで全てを一定にしておきたかったのです。

 

 

実際彼のビースト化を手伝った、コーチのクリス・コモとヤン・フー・クオンは何かのインタビューで

『彼は1プレーンで振ることにこだわっていた。』

といったような趣旨のことを話していました。

 

その結果、極端なまでに関節に制限を掛けた彼のスイングは大きく曲がりはしないものの、身体的なポテンシャルに対しては物足りない飛距離です。(2019年時)

 

【なぜ飛距離を生みにくかったのか?】

 

次の写真にヒントが隠されています。

 

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飛距離不足の理由はP6のフェースアングルがかなり起因しています。

この時のフェースアングルがデシャ博士はだいたい70°ぐらいなのですが、ロースピンハイドローお兄さんのマキロン君はだいたい85°ぐらいです。

つまり、マキロン君はここでボールを捕まえる準備が完了している状態なので後は思いっきり回転してハンドファーストを入れていくだけで済むのですが、デシャ博士はここからフェースを閉じていく作業が必要になってきます。

その分デシャ博士の方が、インパクトまでにやることが増え、身体全体の回転スピードが上げにくくなってきます。

加えて彼は上半身を一つのユニットとして固定しているため、関節を曲げ伸ばす際のヒンジによる加速や肩関節のローテーションによる加速を使えないですし、フックにも悩まされていましたから、思いっきり振っていくことがかなり難しい状態でした。

 

そもそも、アドレス時のグリップからして10°以上左手の甲の位置が違うため、フェースアングルの違いはある種必然といえば必然ですが。

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右手の角度は大して変わらないのに、左手は全然違います。

これはインパクトロフト(この場合は減らす方)の作り方にも影響してくる大きな違いで、

 

デシャ博士:あかん、自分では無理💦

マキロン君:もうこのまま左手の甲立てていけばOK

 

 

となります。

 

ああ、悲しきモンスター…。

フックを嫌がったあまり飛距離不足に悩まされるとは。

 

そして、デシャ博士にはもう一つネガティブなことがありました。

 

 

 

『スピン量が.....全然減らへん💦』

 

 

実際、彼が使うクラブはどんなものか、というとかなり極端なローロフトです。

 

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※2020年は更に拍車がかかります🤣

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自分でロフトを立てられない分、ウッド系が極端にローロフトですが、いくらヘッドスピードが速いといえど、ここまでロフトが無いと普通はドロップするものです。

だが、デシャ博士はスピン量が破格に多いため全然関係なくハイボールをぶっ飛ばしてました。

 

 

ではなぜスピン量が減らないのか?

 

それは彼のP7以降の左腕の使い方が、大きな影響を及ぼしています。

 

【後方からのアングル】

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【前方からのアングル】

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左腕と左わきが開いている博士と閉じているマキロン

 

このP8-9の左肘のポジションが大いに物語っているのですが、具体的にいうとこんな違いがあります。

 

デシャ博士:左腕を内旋させてフォロー(水平チョップ)

マキロン君:左腕を外旋させてフォロー(裏拳)

 

この違いによって、インパクト時のほんの少し手前から

フェースが閉じる側へターンしていくマキロン君はスピンが減りやすく、

デシャ博士は開く側に向けて動くのでインパクトロフトが増えて、スピン量も増加しやすい。

といった現象になって現れてきます。

 

このことによって、フェースが極端にターンすることは制御されますが、ヘッドスピードを効率よく上げて振り抜く、といったことがかなり難しくなります。

なぜなら、グリップとヘッドの運動量の相関が変動しないから振り子運動のようなスピードを上げる動きができないからです。

デシャ博士:グリップとヘッドの動きが連動

マキロン君:グリップがある一定で止まり、ヘッドが動き出す

 

こういった違いとなります。

つまりここでもデシャ博士は飛距離が出にくいことに悩みを抱えやすい状況に陥っていた、と推測されます。

 

しかし、時代が彼の強力な味方となりました。

そう、コロナ自粛です。

中断期間、ゴルフがしたくてもできないことが追い風となりました。

そして、デシャ博士は以前から計画していたあるとんでもない実験を敢行します。

 

 

初速も出にくい。

スピン量も抑えられへん。

でも真っすぐ飛ばすために左腕の動きは捨てられへん。

俺がこのスイングのまま勝つにはどうしたらええんや…。

 

 

 

『そうや!でっかくなったろ!!!!』

 

 

効率のいいスイングを目指すよりも、自分の排気量を上げることに特化しパワーですべてのネガティブを解決する、という悲しきモンスターがここに誕生したのです。

科学的に自己分析した結果、パワーで捻じ伏せざるを得ない、という解決法がなんとも悲しいですが(笑)

 

 

そして、ビースト化した彼がこちら

 

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流行りの地面反力を効率よく取り入れつつ、身体の回転を止めないように左爪先を積極的にオープンしていきます。

ちなみにヤン・フー・クオンは地面反力の第一人者ですし、クリス・コモはタイガーにも指導していたので、巷の何ちゃって地面反力指導者とはレベルが違います🤣

※ビースト化以前はもう少し穏やか。

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この超進化によって、350yを当たり前に飛ばせるようになった彼は快進撃を見せ全米オープンを圧勝しました。

 

この時の記事として多かったのが、【飛んで曲がらないデシャンボー】みたいな内容ですが、

本来は【曲がらないスイングで飛ばすデシャンボー】が正しいように思います。

事実、FWキープ率は多少悪化したものの、50%以上をキープしています。

 

これは彼の2021年度シーズンのスタッツ。

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もう、ケロッグコーンフレークに牛乳足しちゃったようなデタラメなチャートです。

 

しかし、彼は本当に飛距離だけでコースを捻じ伏せたのでしょうか?

もちルダ的にはこれまで語ってきたある要因が、彼を全米オープンでの優勝に導いたと考えています。

それは、彼の破格なスピン量😎

 

彼を悩ませていたスピン量過多の問題は、グリーンで止めるという場面において強力なポジティブ面となります。

特に全米オープンは非常にハードなセッティングが注目されるコースなので、ハイボール&ハイスピンの彼の特徴が大いに活きる大会だったのだろう、と推測します。

もちろん、短いクラブで打てるというロングヒッターのメリットも有るでしょうが、ラフだって関係ねーよ😎

と割り切れるのは、あのスピン量と高さあっての戦略だったと思われます。

 

そして来週のマスターズが開催されるオーガスタナショナルGCはガラスのグリーン、と言われるほど硬くて速いことで有名です。

巷ではデシャ博士が飛距離で捻じ伏せにかかるだろう、と推測されていますがもちルダ的にはそれだけでなく、アイアンでのセカンドショットで大いに違いを見せつける可能性があるのでは?と考えています。

 

結果は神のみぞ知る、といったところですが日没が気になる季節なので、スロープレーに注意し頑張ってもらいたいですね。

 

以上、悲しきモンスター編でした。

 

次回は、こちら

『シンデレラが輝けない理由!!』

です。

お楽しみに😀