『シンデレラが輝けない理由!!①』
皆様こんばんは、もちルダです。
今回は、日本ゴルフ界に現れたスーパーヒロイン。
スマイリングシンデレラこと、【渋野日向子】選手についてです!
ちなみに僕は彼女の大ファンです(笑)
直接話したことはないけれど、白山ヴィレッジで行われた日本女子オープンの際、関係者しか入れないクラブハウスで他の女子プロと談笑する彼女は、カメラの前と全く変わらず非常に好感の持てる素晴らしいキャラクターでした。
ちなみに僕は宮里藍ちゃんのファンでもあります。
引退試合となるサントリーレディースの練習日にすれ違いましたが、誰に対しても笑顔で挨拶する彼女の姿勢に感銘を受けたことがきっかけです。
引退寸前で遅すぎなぐらいですが(笑)
で、この渋野プロは素晴らしいゴルファーでもあり、日本女子ゴルフ界のトップレベルに君臨する実力者ですが、今現在はどうかというと……
かつての輝きを失いつつある状態です。
思えば約1年前、
『初めて海外でゴルフしますー』
『イギリス行ったことないですー』
『お菓子美味しいですよー』
という軽いノリで全英女子オープンを初優勝したその日から、ゴルフ界だけでなくスポーツ界でも圧倒的な人気を得始めた彼女が、なぜ今この状態になっているのか?
色々なメディアで取り上げられている意見をざーっとみると、だいたいこんな感じです。
・去年が出来過ぎなだけなんじゃない?
・肉体改造でフィーリングが壊れたんだろう。
・スイングを変えたせいかも。
・急に注目され過ぎて、自分を見失っているのかも。
・コーチがスイングをちゃんと教えないからだ!!
などなど、様々な意見を目にします。
まあ、直接本人と話したことないのでメンタルとフィジカルの部分に関しては全く分かりませんが、僕の基本的スタンスである
『定量的データと物理法則に従って』
という部分でなら少しは解説できるのでは?
と思います。
では、さっそくいってみよう!!
【渋野プロのスイングの特徴】
まず彼女のスイングを見てみると、以下の要素が上げられると思います。
①重心を落としたアドレスから
②手が長いのと①が相まってハンドダウンアドレス
③切り返しから体が伸びあがらないように
④トップつくった掌屈をインパクトまでキープ
⑤リリースが遅い分前方へ大きなフォロー
といった要素です。
個々の部分はさておき、特に④のインパクト時点で掌屈状態をキープするいわゆる『ドライブ&ホールド』(以下ドラホ)の動きは秀逸で、彼女のスイングの最も優れた部分だともちルダは考えています。
渋野プロはP4からP8ぐらいまで掌屈キープできるタイプですが、これは非常に難しい動きです。
僕の大好きなDJ師匠もこの動きができますね。
※師匠!マスターズチャンピオン、おめでとうございます🎉
なので、今流行りの『トップで掌屈してるかどうか選手権』はまったくどうでもいい話だと、僕は個人的に思います。
なぜなら、トップで掌屈したところでインパクトまでキープできるか、というとかなり個人差があるからなんですね。
これはハックモーションという、【アドレス、トップ、インパクト】の手首の動きを可視化できるツールを使えば一目瞭然です。
※ちなみに僕はトップで掌屈するとインパクトで背屈してしまうので、トップでは背屈そのままでインパクトに向かって掌屈させていく手法を取り入れてます。
僕はコレをマキロン型、と勝手に呼んでます(笑)
話は脱線しましたが、このドラホを何のためにするのか?っていうと、インパクト時に
・フェースをスクエアにキープ
・ハンドファーストにしてロフトを立てる
この二つの要素が簡単にできるので、飛んで曲がらない動きになりやすいからです。
えっ?じゃあ欠点とか無いじゃん。
何を言ってんだお前は??
とお考えの方、少し考えてみましょう。
そもそもゴルフのプレー中、ひたすら強いボールで飛ばさなければいけない状況ばかりですか?
あんまり飛んでほしくない。
落ちてからすぐに止まってほしい。
そんな時ありませんか?
あるはずですよ😏
そう❗️
ウェッジショット&アプローチの場面です‼️
この飛んでほしくない、すぐに止まってほしいを解読していくと次の要素に分解できます。
①初速を落としたい。
②スピンを多くしたい。
③落ちどころに対し、90°に近い角度で落としたい。
(ランディング角を上げる)
で、この①②③をどうやって実現するかというと、以下の要素に分けられます。
【①初速を落とす要素】
①-1 インパクトロフトを増やす
①-2 スイングスピードを落とす
①‐3 ヘッドの重心の上側で打つ
【②スピンを多くする要素】
②-1 スピンロフトを増やす(インパクトロフト増、アタックアングルを-にする。)
②‐2 スイングスピードを上げる
②‐3 ヘッドの重心の下側で打つ(縦のギア効果を使う)
【③ランディング角を上げる要素】
③‐1 打出角を上げる(インパクトロフト増、アタックアングルを+にする。)
③‐2 ヘッドスピードを上げる
③-3 スピン量を増やす
厳密に言うと、クラブでできることもたくさんあるのですが、今回はスイングで変化させられる部分に絞ってます。
で、アプローチはこの【初速&スピン&打出角】を管理しないと狙っているところには止められません。
あれ、これドライバーを飛ばす要素の構成と反対じゃない?
と思われた貴方、勉強家ですね😀
そう、アプローチはドライバーを飛ばす要素と真逆のコントロールが必要になるのである。
つまり、ドライバー(以外のショットも同様)を飛ばすためのドラホの動きは、ウェッジショットやアプローチの際に非常に厄介な動きになってしまうので、ここをどうにか切り替えないと、まったくピンに絡まないのである。
事実、彼女の昨年と今年のスタッツを見てみよう。
【2019年】
【2020年】
青ラインが昨年より良くなっている項目。
赤ラインが昨年より悪くなっている項目。
今シーズンはかなり短縮されているため一概に全てを参考にはできないが、
①ティーショットの精度は良化しており
FWキープ率:67%⇒71%
②パーオン率は上がっているものの
パーオン率:70%⇒72%
③グリーンを外した時が弱点となり
(特にバンカーが全く寄らず)
リカバリー率:64%⇒62%、サンドセーブ率:43%⇒15%
④2日目にオーバーパーを打ってしまう。
2日目のストローク:70.6⇒72.6
といった傾向にあることが見て取れる。
つまり、飛んで曲がりにくくはなったけど、グリーン周りで苦戦しているのである。
ね?僕の言った通りでしょ😀
でも、ここである疑問が湧いてくる。
350y飛ぶようなモンスターが蔓延るPGAの選手も、ドラホしてるんだろ?
あいつらはどうやってその問題を解決してるん?
ってことですが、彼らは各々で解決法を持っています。
【オーストラリアの元ヤンの場合】
そう、地元で札付きのワルだったジェイソン総長ですが、実はアプローチ名人との呼び声高い選手です。
彼の場合は手首と肘の関節を完全にロックし、例えスイングスピードが上がったとしても初速は上げない。
という方法を取ってます。
それがこちら
①等速に一定の力感で
②アドレスした際のシャフトのアングルとフェースの状態を再現し
③アタックアングルをシャローにヒットする。
ことに特化したアプローチを行います。
つまり、アプローチショットマシーンとなることで飛んだり飛ばなかったりの不確定要素を排除しているのです。
彼が最も強かった2016年シーズンのスタッツがこちら。
飛んで曲がるけどショートゲームでポイントを稼ぐ。
というイメージとかなりギャップがあるプレースタイルですね。
てっきりショットメーカーかと思われそうなスイングとイメージですからね😁
つまり彼は、アプローチなどのショートゲームの時、手首を軟らかくしなやかにクラブを使う。
なんてことをしなくても、世界№1になれることを証明してしまいました(笑)
何かの記事で、PGAツアー選手が選ぶショートゲームが上手いランキング、でも上位に名を連ねていました。
さすが元ヤンキーだけあって、
あかん.....パワーが抑え切られへん😅
👉せや‼️しょうがないから、パワー全開でも飛ばへんスイングしたろ‼️
という方法を取られていますね。
前回のデシャ博士が曲げたくないための動きと同じような解決法なのが興味深いですね😏
早く復活してほしいものです。
で、お次は目下最強の漢ですが、彼の場合はまた別の方法を取ります。
【DJ師匠の場合】
冒頭で述べた渋野プロはショット時に師匠とかなり近いクラブの使い方をします。
※インパクトまでの話ですが。
で、師匠はどうやってアプローチ飛び過ぎちゃう問題を解決しているかというと、この通りです。
はい、特にこの動画の1:20あたりからすごく大事なことを伝えてくれているのですが、
『フェースはちょっとだけ開く。でもスティープには入れないよ。前に飛んでっちゃうだろ。』
的なことを仰ってます。
彼のアプローチの特徴として、
①フェースを少し開き
②フリップを入れながらシャローにヒットしつつ
③ルックアップでインパクトを強くしないように力を逃がす。
という傾向にあります。
特にDJ師匠はショートゲームになるほどこの『ルックアップ』を多用し、引っ掛かり防止と初速コントロールを行います。
※ちなみにドライバー等のウッド系では全くやりません。
そしてヘッドを走らせてロフトを増やす『フリップ』を入れることで、ドラホのネガティブ面であるアプローチ飛び過ぎ問題を解決しているんですね。
つまり、ドラホとフリップの両極端の動きを適切な場面で切り替えて打っているのですが、このタイプの選手は元々フリップがあまり得意ではないので、アプローチの際のヘッドの運動量があまり多くありません。
フリップマジシャンの代名詞がミケルソンですが、彼とまったく違うフィニッシュになる点がその証拠です。
【シンデレラの場合】
翻って、シンデレラのアプローチを見てみましょう。
かなりボールを右に置き、ハンドファースト&ダウンブローでヒットします。
やや左足上がりとはいえ、クラブが若干突っかかっている点もあやしさが臭います。
で、実際どれぐらいハンドファーストなのかの参考画像がこちらです。
ジェイソン総長に比べ、約11°程ハンドファーストになっており、これにフックグリップの要素を足すとおそらく13~15°前後はロフトが立った状態です。
しかもダウンブローに打っているので、おそらく2~3°はマイナスアングルです。
仮に同じ58°のクラブを使っていた場合、
58°-(15°+3°)=40°
となり、9番アイアンでアプローチしているのと同じ初速が出てしまいます。
多少要求される球筋が違うロケーションにせよ、かなり差があります。
ところでお主、何のためにサンドウェッジ持ってるんや?
という状況が起こるわけです。
彼女は初速コントロールにかなり苦労するタイプで、ある場面でとんでもないミスをしてしまうのです。
こんな感じのヘビーラフではヘッドスピードを上げてラフを刈りつつ、球を上げて飛ばさないという二律背反になるのですが、この状況をまったく処理できないという問題を抱えています。
なぜなら、
①フックグリップで
②ハンドダウンに構え
③右足寄りにボールをセットし
④ハンドファーストで
⑤ドラホする。
ために、振ったら飛ぶ状態のクラブ使いしかできないからです。
これを解決するためにフェースを開きロフトを増やすのですが、
フェースを開くとヘッドの重心が低くヒール寄りに変動する。
ために、ボールの下を潜りやすくなったり、当たりが弱くなる分もっと振らないといけなくなるのです。
つまり、よりシビアなインパクトが要求されるため、難しいライからかなり難しいショットをしなけらばならないのです。
彼女の場合、クラブの使い方を間違っているため、フェースの開き程度では解決できるレベルではありません。
物理法則を技術ではカバーできない状態です。
思えば全英女子オープンを優勝した日も、彼女のアプローチはかなりあやしかったですね💦
#8ホールのアプローチ(19:40頃から見てみましょう。)
『ちょっっ待てよ!!』
ってぐらいの勢いですっ飛んでいきました(笑)
このグリーン奥から、弱めの球質で寄せたい場面でかなり低く強い球を打ってしまい、結果ボギーとなりました。
普通このグリーン奥からのロケーションで、ああいったショットは選択しません。
同伴競技者のブハイ選手はおそらく
『Why Japanese people!!!?』
と思ったはずです。
で、こういった問題が一過性のモノならまだいいのですが、彼女の場合は常時このアプローチを選択してしまう欠点を抱えています。
ああシンデレラよ……アマチュアの僕でも2秒で気付くのに💦
AO木さんさぁ
『スイングは教えない(キリッ)!!!!』
とか言うてる場合やないで💦
ダイヤが石ころになろうとしているやないか😫😫
いくらなんでもこの程度のことはせめて教えてやれよ、と僕は思うんですがね。
しかし彼無くしてはここまでの軌跡もなかったことですし何とも言えませんが、この師弟コンビが過渡期に差し掛かっているのは事実かな、とも思うもちルダです。
で、本来は1回で終わるはずの記事だったのですが、彼女はもう一つある重大な欠点を抱えていますので、続編が必要となりました😅
次回、
『シンデレラが輝けない理由!!②』編です。
お楽しみに😀