『日系メーカーの開発環境の悲哀…』
前回まで、長々とバンスについて語ってきましたが、ここで一つの疑問が浮かんできますね。
『バンスある方がいいのなら、日系メーカーも造ればいいじゃん!!』
はい、その通りです(笑)
しかし、彼らにはそれを造れない&造らない事情があります。
では、嘘でしょ!!?ってぐらいの衝撃の理由を、つらつらと上げていきましょう。
【バンスあるアイアンを造れない&造れない理由】
1.そもそもバンスの重要性がわかってない。☞論外ですが、よく有ります。
2.フェアウェイもしくは練習場を中心にテストしている。
(1)コーライ芝(日本のゴルフ場に最も多い)でテストする。
(2)練習場の人工芝だと、跳ねて邪魔なので評価が悪い。
3.晴れた日にテストする。
4.テスターのアタックアングルがシャロー&ロフトが立って当たらない。
5.軟鉄&鍛造志向が強く、バンスに重量を割くとキャビティー部分を複雑な形にできず、設計に限界が来る。
6.スイング的にインパクトでフリップ(リリースの一種)する人が多く、バンスがあると跳ねる、という評価になりやすい。
7.ソール幅を広くすれば解決すると思ってる。
8.特にストロングロフトのモデルでは、ダウンブローに打たない。と決めつけ深く考えたことない。
9.メディアからそういった質問が一切ない。
10.他社品を褒める風潮が悪とされるので、誰もメーカー内で言い出せない。
11.販売店がそもそもバンスの重要性を理解していない。
まあ、少なく見積もってもこれぐらいはあるんじゃないかな、と(笑)
ハッキリ申し上げて、
ただ単に勉強不足!!
ゴルフについて深く考えたことなさすぎ!!
そして、ゴルフしなさすぎ!!
この3つです(笑)
以前このブログでも登場した社長さんに、一度このバンスの重要性について尋ねたことがありますが、こう答えておられました。
『ウチの営業も販売店も、そこまで考えてクラブ売ってない。』
非常に悲しそうな声でしたね💦
このメーカーさん、カスタムオーダーでそういった対応ができるシステムがあるのですが、ほとんどそういったオーダーが来ないそうです。
しかし、北米からはそういう『バンスマシマシ』依頼のオーダーがバンバン来るそうで、ゴルフ環境と理解度の差だ、と話しておられました。
で、上記のメーカーさんは別にして、ここである疑問が浮かんできますね😏
メーカーさんってみんなゴルフ上手いんじゃないの?
それぐらいのこと何で解らないの?
ってことが。
そうです。ゴルフクラブのメーカーの開発者さんは、一般的なレベルに比べてゴルフが上手です。
故にバンスというお助け機能があまり無くても今までと変わらないので、その重要性に気付かないというジレンマを抱えているのです😂
つまり、アベレージ向けといわれているクラブの機能は実際にアベレージ層の方を呼んでテストしまくるということはごく稀で、
ほとんどの場合はこの上手な方々がヘッドスピードを落として打っているだけ!!
なのです💦💦
実際にコースで色んな状況で打ってみて、初めて良し悪しが解るのがアイアンなのに、ツアープロが練習場で打った感じを中心に(しかもコーライ芝で)製品開発しても、あんまりエポックメイキングなモノは産まれないのである。
そもそも彼らが打つようなソールの狭いアイアンは、ラフから打ったって抜けやすいしフェースを開いて打つ技術を備えているので、バンスが無くても打ててしまうのである(笑)
もちルダは、Kプロのアマチュア向けに造ったクラブがツアープロにはちょうどいい理論は大いに賛成ですが、海外メーカーの方がその点では優秀だ、と言わざるを得ません。
そして驚くべきことに、ゴルフメーカーの人はゴルフがあまり好きではない人が多いんですよねー😅
ほんとだよ(笑)
事実、メーカーの開発部門でゴルフを本当に好きで年間30回以上プレーする人を、もちルダはほとんど見たことなかったです。
日本のこの
【上手い人が机上で考えた、アベレージ向けのどうしようもないクラブ】
が蔓延っているのが、この日系メーカーの悲哀そのものなのです💦
そして気づけばお家芸だったアイアンも、海外メーカーにチンチンにやられているという始末です😭
ただ、ここまで厳しめの指摘をさせて頂きましたが、現状唯一バンスの重要性に気づいてる日系メーカーを取り上げたいと思います✨
【頑張れ日系メーカーさん‼️】
このSRIXON Z585というアイアンですが、V字型のソール形状のため、ありがたい事に2面に分けてバンス角を表記してくれています。
V字型なので、当然バンスが効く側と効かない側が存在するのですが、その点についても非常に親切に記載されていますね。
このZシリーズですが、さらに785・Z FORGEDというハーフキャビティとマッスルバックも用意され、両方ともフェース側のバンスが19°あるという、非常にチャレンジングな設計です。
この設計によってダウンブローやハンドファーストが強くても刺さりにくく、フリップする人にとってはバンスが滑るというお助け機能MAXな性能です。
※なんでゼクシオに反映しないのか、非常に謎です(笑)
以前シャフトのトルク編では酷評させて頂いたD社のカタログですが、一方ではものすごく大事なことも載ってたりする、ジキルとハイド的なメーカーさんですね😅
そしてこのアイアンは、アタックアングルが強烈なフリートウッドがロングアイアンを採用していたり、松山プロ、19年全英優勝のシェーン・ローリーが使用するなど、海外での実績も豊富なシリーズです。
実はD社の開発にも携わられている方と面識があるのですが、この方めちゃくちゃゴルフが上手くてラウンド数も半端じゃない数こなされています。
その方が松山プロと色々とやり取りし、この形状が生まれたようですね。
コースで何が必要か?を模索した2人がいたからこその製品なのかな、と想像します。
やっぱり良いモノは世界で通用するんだね😏
その反面もちルダとしては、せっかく答えにたどり着いてるんだから、ゼクシオとかに採用すれば低重心化も簡単なのに、なんでやらないんだろうと疑問が深まるばかりです💦
たぶん低重心側に重量取られ過ぎて、深重心化ができないからやらないんだろうなー、と推測してます😁
でも、ちゃんと当たらなくちゃ意味なくない?
ってことに早く気づいてくれれば、その他のメーカーも追随するので日系メーカーのクラブってもっと良くなるはずなのになー。
と、思いつつアイアンのバンス編はこの辺で締めたいと思います。
次回は少しマニアックな世界となりますが、
『地クラブって飛びますか?』です。
お楽しみに